- コラム
ツイードの季節がやってくる
今回は少し語らせていただきます。もしも私がお店を閉めたら、私について来てくれたファンの方々には、「あのお店は本物のツイード屋だったな」と言われたい。私の洋服屋人生で唯一ブレなかったのが、秋冬のツイードスタイルです。ロンドンのコーディングスの門を叩いたのがきっかけで、ツイードスタイルの奥深さを追求し始め、毎年毎年接するお客様に対してツイードの良さを伝えてきました。ツイードと一言で言っても、その土地土地でまったく違う織物で、そのすべてが心底魅力的だったのです。
狩猟や乗馬に使うスポーティングツイードは、ツイードの原点とも言えるスコットランド産が一番。ルイス島で織られるハリスツイードは、英国から飛び出し、アメリカでブームになりました。極寒のシェットランド地方で織られるシェットランドツイードは、非常に保温性の高い縮毛で、セーターを着ているかのような風合いが特徴的。これらが綾織りなのに対して、アイルランドのドネガル地方で織られるドネガルツイードは、とても無骨で暖かみのあるホームスパンで、都会的に着こなせるツイード地と言えるでしょう。
このようにどの地域のツイードも魅力的で、私にはそばに置いておきたい生地なのです。これがわかってきたのも28年の間、ツイードを愛し、また失敗を繰り返し、諦めずに追求してきたからこそだと自負しています。ツイードはあくまでスタイルなので、ジャケットだけを仕立てたからと言って完成するものではありません。それに付随するトラウザーズ、シャツ、ネクタイ、ウエストコートがマッチして初めて成立するものなのです。日本では残念ながら、せっかくのツイードジャケットを色味や素材のミスマッチでスタイルを損ねてしまっている人を多々見かけます。そこがヨーロッパ人の着こなしに勝てない理由だと思っています。そこを克服するのが私の仕事です。
どのようなツイードでも必ずベストコーディネイトに持っていく自信はあります。すでにツイードジャケットをお持ちの方、未だツイードの世界に足を踏み入れていない方、どんな方でも冬の訪れが楽しみになるよう、その方に合ったツイードスタイルをご提案させていただきます。
【JKT】LOVAT ETTRICK ジンジャーピンチェック(スコットランド)
¥137,500
【JKT】Harris Tweed フェザーウェイト 茶ピンチェック
¥99,000
【JKT】W.Bill ジンジャー シェットランドツイード
¥132,000
【JKT】Molloy & Sons グレーホームスパン(ドネガル)
¥115,500