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俺の店 vol. 9 マリアージュの魔術師『Bar MARTINI』

  良いバーとは何か。その定義は人それぞれですが、私が今まで訪れた中で、世界最高のバーと呼べるお店が、金沢の柿木畠にあります。その名は『Bar MARTINI』。

  例えば私の仕事で言うと、上質のツイードで仕立てたジャケットに何を合わせるかが重要であり、その提案力こそがフィッターの腕の見せどころ。同じように、最高のお酒にもその味を引き立たせる料理との相性があり、それを“マリアージュ”と呼びます。オーナーの和世さんはその知識とセンスが、今まで出会ったバーマンの中でも、群を抜いています。天才を飛び越えて、もはや魔術師なんじゃないかと。

  「美味しいものを知らないバーマンは、良いバーマンにはなれない」という和世さんの言葉は、洋服屋の私にも泌み入るものがあり、全てを知ったうえで瞬時に最高の選択ができる人間こそプロフェッショナル。人生にこだわる北陸の紳士たちが、この店に長年通い続けるのも理解できるような気がします。私も訪れる度に考えさせられ、出されるもの全てに唸ることしかできません。今まで味わったことのない満足感を体感しに、ぜひ金沢へお越しの際は、『Bar MARTINI』へ立ち寄ってみてください。

 

『Bar MARTINI』

〒920-0999 石川県金沢市柿木畠5−8

076-233-1991

18:00〜2:00 OPEN

 

バカラのグラスに注がれた“赤星”で乾杯。

 

アテは、石川のころ柿とフランスブルターニュの柚子バター。この組み合わせ、一発目からいきなりカウンターパンチを喰らいました。

 

稀少な「007」のオフィシャルシャンパーニュ「BOLLINGER」。

 

未開封なのに、揮発して目減りするほど時を重ねた1950年代の「ブラック&ホワイト」。

 

こちらも60年以上前のシリアルナンバー入り「ホワイトホース」。この頃のウイスキーは、“雑酒”と記されています。

 

他では見られないヴィンテージなお酒とグラスがズラリと。眺めるだけでお酒が進みます。

 

モントリュージャズフェスティバルのシャンパーニュ「テタンジェ」を、バカラのヴィンテージグラスで。19世紀のグラスは脚が短く(右)、20世紀に入るとステムと呼ばれる脚が出てくるそう(左)。大粒の苺「べにほっぺ」をつまみながら。

 

 “黄金の山”と呼ばれるスイス国境近くのフランスで最も寒い場所で搾乳された「モン・ドール」というチーズ。温めてとろとろになった状態をスプーンで救いながら頂きます。今まで出会ったことのない食感と香り豊かな味…、シャンパーニュが止まらない。

 

次々に出される“マリアージュ”の品々。地元の「バビロン」のレーズンパン、シャンパーニュ地方のハチミツ。ブルーチーズをちょっと乗せて。少しずつ、ゆっくりと味の違いを楽しみます。

 

この道50年、オーナーの和世繁さん。いつも笑顔で、いつ行っても安らぎと気づきを与えてくれる真のプロフェッショナル。

 

この日は、常連の新田さんと。時を忘れ、語り続ける二人。

 

サッと差し出されたオーナー特製のパスタ。5時間煮込んだスネ肉と石川産のネギを合わせたアルデンテな一品は、これだけでお店が開けるほどの超絶な美味しさです。

 

大人のシガータイム。アッシュトレイのコレクションも大人の嗜み。

 

シメのハイボールは、チョコレートファッジをつまみに。

 

和世さん、今回も素敵な夜をありがとうございました!

 

 

 

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